#9◆女性ホルモン補充療法と乳癌
および子宮内膜癌などのリスク上昇


女性は、閉経を境に特に卵巣の機能が落ちてエストロゲンやプロゲステロンなどの卵巣分泌の女性ホルモンが低下します。この低下に伴い更年期症状が出現します。この症状を改善する目的で、体の外から女性ホルモンを補うのがホルモン補充療法の考えです。したがって、理屈にあった治療法です。エストロゲンを単独で使った場合、子宮内膜癌のリスクが上昇することが古くから知られているので、子宮を有する女性ではエストロゲン+プロゲステロン併用療法を、手術など何らかの理由で子宮を摘出した女性にはエストロゲン単独療法をおこないます。この治療は、更年期障害のみならず、骨粗鬆症も改善し骨折の予防効果もありました。しかし、アメリカで行われた大規模臨床試験において、予想された以上に乳癌や子宮内膜癌の発症がみられたため、エストロゲン+プロゲステロン併用療法試験が2002年5月に、エストロゲン単独療法が2004年3月に相次いで早期に中止されています。経口薬の他に貼付薬を発売されていますが、乳癌および子宮内膜癌の発症リスクが上昇しますので、定期的な検診のできる産婦人科で処方してもらうのが望ましいでしょう。